読書備忘録

清潔はビョーキだ
作者: 藤田紘一郎
出版社: 朝日新聞社
面白いです。寄生虫学者である著者は、まずいわゆるアレルギーが日本から寄生虫がいなくなったこととの関連を論証してます。また今の抗菌グッズの隆盛にも警鐘を鳴らしています。
マクロコスモスにおいてそうなように、人間というミクロコスモスでも細菌が重要な役割をもっていること、たとえばビフィズス菌は善玉で大腸菌は悪玉なんて見方も否定してます。また皮膚には常在菌がおりそれが皮膚の健康にとって重要なのではとも示唆しています。
確かに私も、現在の日本の清潔志向は、合理的と言うよりあるしゅ呪術的とさえ感じます。
また細菌を人間を害する外部の物と見る見方も一面的であるとの批判、そして困ったことにそれは専門家の間でさえ顕著なことなどなど。
パースペクティブを広げる一冊としてお勧めできます。

評価 A