冒頭いきなり、著者のイギリスミドルクラス向けの寄宿学校の話から始まります、それこそ週に一度しかテレビを観れない、外出は一学期に2度しか許されない、テーブルマナーもがちがち。もう私からするとアニメや小説の中で出てくるのしか創造できないような、お嬢様学校です。
著者はイギリスの学校とはそういうものだと順応したようですが、同じミドルクラス向けの違う学校に転校したら、話方、髪型テーブルマナーそれこそ話してる言葉さえ微妙に違うと感じたようです。
前者はミドルクラスでもアッパーミドルクラス向け、後者はロウアーミドルクラス向けの学校だったようです。

そして本編は主にビクトリア朝から20世紀初頭にかけてのロウアーミドルクラスについての叙述が始まります。
このアタリは日本人には理解しにくいかもしれませんがアッパークラスとは貴族であり、ミドルクラスとは貴族でもなければ労働者階級でもない階級を指し、その上層部のアッパーミドルは貴族と血縁関係や社交上の関係もあります。いわゆるブルジョワジーです。
しかしロウアーミドル階級とは事務員や比較的下層に位置づけられる専門職により構成されます。
金銭的には上層労働者階級と変わらないどころかそれ以下のとなるロウアーミドル階級が、いかにジェントルマンたろうとしたかその苦労がしのべます。
ロウアーミドルクラスはそれ以上の階級の風習を真似ますが、そのように真似るほどそのような風習は下等なものとされる。
上流階級でもなく、労働者階級でもなあるいみ疎外された階級となります。

またウェルズやドイルはそのようなロウアーミドル階級の小説として読め、シャーロック・ホームズなどロウアーミドルの英雄以外の何者でもないと。

イギリスの階級社会を学ぶ上での入門書としてはよくできてると思います。

評価A