お尻とその穴の文化史

お尻とその穴の文化史

フランス人の医者が書いた、まあタイトルどうりの本です。
正直、ちょいと人前で話すのは難だったりする話題だったりしますが、この本では当たり前といえば当たり前ですが忌憚なく語られます。
医学的な事はもちろん、文化的な事まで、また実際の臨床での実例を交えて、一般的に言われてる俗説などにも反論を加えてます。
正直私も、ほーそうなのかと思うことも多かったです。

個人的なヒットは診療を受ける際
「たとえ何か言いづらいこようなことがあったとしても、すべてを語る必要がある。大丈夫、診療所のほうは、もう何でも経験してるのだから」*1
また診療の再のうつ伏せに上半身を低くひざをつきお尻を持ち上げる姿勢に関して
「この姿勢は羞恥心について配慮しているとは言いがたい。でも大丈夫。肛門科の医師や助手たちは、毎日一〇個はお尻を見ているのだから、欲望なんてかんじやしない。」*2
あとは直腸内の驚くべき異物の数々では
「ある者は率直に説明するが、またある者はまったくありそうもないあやふやな釈明をして、引っ込みがつかなくなる」*3
具体例では階段の手すりの取っ手が直腸内にはいってしまった者が、酔って階段の手すりをすべり落ちたからだと言っているが、なぜわざわざパンツとズボンを脱いでその様な事をしたかの理由はついぞ語る事がなかったなど。
引用箇所の「大丈夫」というのも患者側の複雑な心理が分かってるのでしょう。

本のカバーは着けない主義の私もちょっと周りに人がいる状況では読みにくい本ですが、解剖学的な解説や具体的な病理について、またシャンプーなどのものは例外なく肛門にとっては有害であるなどなかなか興味深く読めました。

評価A

*1:171頁

*2:174頁

*3:242頁