おべんきょう

法律を勉強していると、まわりから相談を受けたりしますが「離婚しようと思ってるが夫が、離婚するなら夫の氏になってるのを結婚する前の氏に戻せ」と主張しているんだけど法律的にどうよ?と聞かれました。
私はそれに対し民法767条を根拠にそのような主張は認められないといっておきました。

離婚による復氏等)第767条 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。《改正》平16法1472 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。

でこの話を法学科の人に話したら「協議離婚ならそのような条件をつけるのも普通にあり」といわれました。
うーん、どうなんでしょう?

そもそも民法家族法に関しては当事者の合意より法が優先する強行規定がおおいです。また仮に協議離婚でその様な条件を含んでいたとして夫からどんな主張ができるのか?
協議離婚の無効原因は1離婚意思の不存在2離婚届の不存在です。仮に協議離婚の際に負った債務をしなかったとしても離婚が無効になるとは思えません。たとえば、慰謝料なり扶養費の不払いにより協議離婚が無効になる、というのはありえないと思います。その場合はあくまで裁判で判決を得強制執行となるでしょう。
では、協議離婚が無効とならないなら、夫側からどんな請求ができるか?債務不履行責任を追及?そもそも氏とはかってに名乗るものではなく、公的な機関により登録されてなければいけませんが、氏の変更は戸籍法107条1項により「やむをえない理由」が必要とされ、これにはあたらないでしょう。
では損害賠償となるのですが、そもそも自己の氏をどうするかということは人格権に由来する事ですし結婚した配偶者が自分と同じ氏となったのを離婚した故に戻さないと言う事から生じる精神的苦痛は甘受すべきではないでしょうか?
というわけで、仮にい協議離婚の際にその様な復氏するなどという条項は無効だと解します。

判例を軽くあさっても類似事例は見当たらなかったですが。