読書備忘録

テレビゲームと子どもの心―子どもたちは凶暴化していくのか?

テレビゲームと子どもの心―子どもたちは凶暴化していくのか?

週末の発掘作業で出てきた資料w
アノ、メタモル出版です。
メタモル出版危険シリーズ
メタモル出版水シリーズ
のタイトルや内容紹介を見るに色々、すっぱいというか香ばしいのが混ざってますが、この本はまともです。困ったことに。
http://research.cesa.or.jp/index.htmlの一番したの坂本教授のインタビューやお茶の水大学の坂本教授の研究室のサイト内のbooksを読んでもらえればどういう、この本の内容は想像できると思います。
まあ斧女や鉈男でひぐらしのなく頃になどが槍玉に挙げられますが、そういう議論がアホらしくなってきます。
ゲーム内の暴力表現は人の暴力行動への影響はあるが、それは暴力描写そのものより、その暴力行為の報奨性やどの程度正当化されてるか、あと現実性が関係しているようです。するとひぐらしは、基本的に暴力行為は正当化されず報奨性もありませんし、唯一ともいえる肯定的な暴力描写はレナが、かあいいモードでかなりギャグ的に書かれており現実性は希薄かと。

この本は分かっていることと分からないことをちゃんと明示し、ゲーム脳の恐怖などの俗論への適切な反論も行っています。紹介したリンク先からも窺えるように学者としての坂本氏の誠実さが感じられます。
また典拠もあげられてるので、ゲームのメディアへの影響を学びたいと思う学部1年生あたりに読んで欲しいような内容です。

でオタ的に気になったのは2000年にお茶の水女子大学で行われた実験で使われた「11個のシューティングゲーム」は具体的になに?レイディアントシルバーガンとかギガウィング怒首領蜂も含まれてる?それともインベイダーゲームみたいなプリミティブなやつとかなんでしょうか?あとはそもそも一般的にシューティングゲームとされないようなやつ?ただシムシティを具体的に名前あげてるところからすると、やっぱり普通にシューティングゲームなきもします。
あと筑波大学チームの役割参加型ゲームや刺激反応型ゲームでそれぞれ暴力的、非暴力的とかの具体的なゲームも気になりますw

あとゲームの有効利用に関係して教育ゲームが今後「いずれはブレイクするのではないかとみています」とある事。この教育ゲームは学校教育で使われるようなのを想定しているのでいわゆる脳トレブームのゲームすべてが含まれるわけではありませんが英語漬けあたりは、これにあたるかと。
坂本氏も指摘するように教育という要素とゲームという要素、それぞれのノウハウをもっている会社が違うとかはありますが、今後現在のようなクイズ形式を越えた教育ゲームの隆盛は昨今の状況を見るに、なくはないかと。歴史や科学、あるいは法律系とか十分ありえると私は思っています。
本書が発行されたのが、2004年の12月12日、まだDSの発売から10日程度で脳トレブームなど影も形もなかった頃です。

評価 A